ジョグジャカルタの設立は、スリ・スルタン・ハメンクブウォノ1世が高い哲学的な基本を築く事に依って設計されました。スリ・スルタン・ハメンクブウォノ1世は、ジョグジャカルタ市の中心点としてジョグジャカルタ王宮を建設し、南北方向に伸びるジョグジャカルタの都市レイアウトをアレンジしました。更に、ケラトンの北部にトゥグ・ゴロング・ギリッグ(パル・プティー)と南部にパングング・クラピャックも建設しました。これらの三つの点から、直線を引くと、「ジョグジャカルタの哲学軸」として知られる虚軸に成ります。
哲学的にこの虚軸の中心は、人間と神(Hablun min Allah)、人間と人間(Hablun min Annas)、そして人間と自然との関係の調和とバランスを象徴しています。これには、五つの構成要素、つまりメラピ山の火(Dahana)、ジョグジャカルタの地球(Bantala)と南海からの水(tirta)、風(Maruta)と空(Ether)。同様に、生命を構成する三つの要素(肉体、エネルギー、魂)は、哲学的な虚軸に含まれています。スリ・スルタン・ハメンクブウォノは、「サイディン・パナタガマ・カリファツッラー」(Sayidin Panatagama Kalifatullah)と言う称号を持って、ヒンドゥ教の虚軸哲学の概念をジャワのイスラム教哲学の概念「ハメマユ・ハユニング・バワナ」(Hamêmayu Hayuning Bawana)と「マヌンガリング・カウラ・グスティ」(Manunggaling Kawula lan Gusti)に変換しました。
トゥグ・ゴロング・ギリッグ(Tugu Golong Gilig)又はトゥグ・パル・プティー(Tugu Pal Putih)記念碑はリンガのシンボルで有り、パングング・クラピャックは豊饒を象徴するヨニのシンボルです。上部のゴロング・ギリッグ記念碑は円形(Golong)で、下部は円筒形(Gilig)で、白い為、パル・プティーとも呼ばれています。ゴロング・ギリッグ記念碑は、彼のライフプロセスを実行する際のスルタンの存在を象徴しています。これは、全能の神を誠実に崇拝し、人々の福祉への決意(Golong Gilig)と純粋な心(白い色)に基づいて示されています。その為、ゴロング・ギリッグ記念碑は、北シティヒンギル(Sitihinggil Utara)のバンサル・マングントゥール・タンキル(Bangsal Manguntur Tangkil)で瞑想を行う際のスルタンの主要な焦点でも有ります。パングング・クラピャックと王宮とトゥグ及びその逆のヒンドゥー教哲学的関係は、スリ・スルタン・ハメンクブヲノに依って、ジャワのイスラム教哲学「サンカン・パラニング・ドゥマディ」(Sangkan Paraning Dumadi)の概念に変更されました。
パングング・クラピャックから北への線の哲学は、母親の胎内からの誕生から成人期、結婚、そして出産(Sangkaning Dumadi)までの人間の旅を説明しています。南アルン・アルンは、成長した男性が既に「ワニ」(ジャワ語では勇敢と意味する)と言う根性を持っていた為、女性と結婚する、即ち大人の生活を表しています。
一方、ゴロング・ギリッグ記念碑から南へは、神と向き合う人間の旅(paraning dumadi)を表しています。ゴロング・ギリッグは、心臓の純度(トゥグの白い色)に基づく「創造的」(Cipta)、「情感」(Rasa)、「欲望」(Karsa)の結合を象徴しています。マルガタマ通り(美徳への道)を経由して、マリオボロ通り(オボル(ジャワ語ではトーチと言う意味)を使用/ワリ(イスラムの聖者)に依って教えられた知識ガイドを使用)を南に進み、マルガムルヤ通りを南に進み、次にパングラカン通り(否定的な情熱を追い払う)を通ります。
ケパティハン複合施設とベリングハルジョ市場の存在は世界を象徴しており、避けなければならない世俗的な誘惑と人間の欲望を象徴しています。マルガタマ、マリオボロ、マルガムルヤの途中で、セングセム(Sengsem)/魅力を意味するアセムの木(Tamarindus indica)が見つかります。又、アヨム(Ayom)/日陰を意味するガヤムの木(Inocarpus edulis)も発見されます。